球磨村の200人、壁と床ない避難所で2晩 役場も孤立

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渡辺七海 板倉大地 新垣卓也
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 記録的豪雨で大きな被害が出た熊本県球磨(くま)村では、200人を超える被災者が、屋根だけの避難所で2晩を過ごした。村役場も孤立し、被災者支援が十分にできない状況にある。

 村によると、指定避難所だった多目的集会施設は、14人が心肺停止で見つかった特別養護老人ホーム「千寿園」の近くにあり、4日午前に浸水。村民らは自主的に、地区の高台にある村総合運動公園内の「さくらドーム」に避難した。ドームには屋根はあるが、壁も床もない。避難者は地面に敷いたブルーシートの上で過ごした。5日夜は強風で雨が入り込んだため、シートを壁代わりにしたという。

 ドームに避難していた淋(そそぎ)剛さん(83)は4日午前5時半ごろ、自宅の玄関口まで水が入ってきたため、隣家の2階に避難。同日夕、自衛隊のヘリコプターで救助された。自宅は10年ほど前に4メートルのかさ上げ工事をしていたが、屋根まで沈んだ。「こんなことになるとは、夢にも思わんかった」

 村役場の牛塚友紀・村長公室長(40)によると、5日夜から6日朝にかけ、職員や保健師が避難者の体調確認やトイレ介助にあたったという。ドームを訪れた医師からは「高齢者や子どもには適さない環境」との指摘を受けた。村は6日、全員を約6キロ離れた人吉市立第一中学校などに再避難させることにした。

 ドームそばの高台にある「寿泉寺」にも5日、近隣住民約30人が避難していた。住職の勝枝之総(ゆきのぶ)さん(66)は、避難者が身を寄せてきた4日朝から備蓄の米でおにぎりを作って配った。電気も水道も復旧しておらず、「水、米も底をつきそう。公的支援がなければいつまでもつか」と話していた。

 村民を支えるはずの役場も孤…

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