第2回その宿題、意味ありますか? 心理学者が問う「質」と親世代との違い

有料記事宿題が終わらない

聞き手・田渕紫織
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宿題が終わらない (2)

 この宿題の、どこに意味があるのだろう? そう思ったことはありませんか。意味のある宿題とはどんなものかを研究している東京学芸大特任講師の太田絵梨子さん(教育心理学)は、宿題の「量」だけでなく、「質」にも目を向けるべきだと問題提起します。

 ――宿題のどんなところに課題を感じてきましたか。

 大学生の頃に学習支援に携わり、宿題に苦労している子たちと向き合ってきましたが、宿題の中身を見ていて「そもそもこれでいいんだろうか」と疑問が湧きました。

 ドリル形式の宿題では、答えを先生が持っていて、自分が解いた問題が合っているかどうかもわからず、後で振り返る時間もなく、「やりっ放し」になっていました。

 宿題の目的は、その子自身が苦手なことを克服し、得意なことをのばすことだと思いますが、これはやったかいのない宿題の姿では、と思いました。

 ――「宿題不要論」も見かけることがあります。

 国によっては、宿題を全て廃止すべきだという運動が保護者から起こることもあります。フランスでは、小学校で記述式の宿題を出すことが法律で禁止されています。

 日本でも一時期、宿題代行サービスが問題になりました。文部科学省も注意喚起をしたようですが、裏を返せば、宿題をやることに意味がないと思っている保護者はそれだけ多いということですよね。

 私も、意味のない宿題を出すぐらいなら、やめたほうがいいと思います。

 ――意味のある宿題とない宿題の差って、何でしょうか。

 意味を理解しないままにひた…

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    平尾剛
    (スポーツ教育学者・元ラグビー日本代表)
    2023年5月25日19時54分 投稿
    【解説】

    宿題の見直しには私も賛成です。暗記しているかどうかを確認するだけの宿題が、考える力を育むとは思えないからです。 そもそも興味や関心があれば自ずと記憶するものでしょう。ポケモンのモンスターは難なく憶えられるのがなによりの証拠です。好きこそ物

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    小室淑恵
    (株式会社ワーク・ライフバランス社長)
    2023年5月26日21時0分 投稿
    【解説】

    「量から質へ」の変化が求められているのは大人たちの働き方含め、世の中全般においてそうだと言える。 子どもたちへの宿題を「量から質」に変化させていくにあたり、宿題を出す側である先生たちの働き方が「質より量」であって良いはずが無い。求められる

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