第4回反骨精神のために多少は必要…体罰繰り返した元教員の思いこみと後悔
「逃げるな!」
数年近く前、高校のある部活動の練習試合。顧問だった男性は、一人の部員に大きな声をかけ続けた。
「チームを引っ張っていく主力選手に」と、期待をかけていた部員だった。しかし、試合中に何度もミスをした。プレーから逃げているように見えた。
何よりチャンスで消極的なのが気になった。練習などでは常に「逃げればチームの足を引っ張ることになる」と言い聞かせてきた。練習でやってきたことに挑戦しようとしない。
「気合をいれてやらなければ」
指導が必要だと思った。
タイムをとって、この部員と向き合った。男性の目をじっと見ている。
平手でほおをたたいた。「パチン」と音が響いた。
部員は口を真一文字にして、こちらを見た。
2回、3回と手が無意識に出た。体が勝手に動いている感じだった。これまでも練習中などに人前で殴ることはあった。
周囲からどう見られていても抵抗はなかった。
部員はその後、普段通りにプレーした。男性の目には、プレーが積極的になったように思えた。
男性はいま、体罰をしたことに後悔の念を抱いています。なぜたたいてしまったのか。部活指導者を暴力に駆り立てるものとは。
翌日朝、部員たちが体罰のことを話題にしていた。
男性は、すぐに学校の上司に電話した。
「体罰をしてしまいました…
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