中国の「ゼロコロナ」政策に対して広がったデモは、なぜ起きたのか。今後、どのような動きに発展する可能性があるのか。中国の監視社会に詳しい梶谷懐・神戸大学教授に聞きました。
――中国各地に広がった今回のデモを、どう見ていますか。
直近の原因としては、これまで厳しく実施してきた「ゼロコロナ」政策が、11月に入って緩和の動きを見せたことが関係していると受け止めています。隔離期間を短縮するなどの、いわゆる「20条措置」が公表されましたが、地方ではむしろ感染者が増加しているタイミングでした。現場レベルでは混乱が広がり、逆に管理を強化した地域もありました。
市民からすれば期待が高まり、ようやく緩和されると思ったわけですが、そうはならなかった。特に、政策に通じた知識階級や大学生などに不満が募ったことが、今回のデモの動きにつながった面はあります。
もう少し長い目で見れば、コロナ感染が怖いと感じていた人の中に、上海のロックダウン(都市封鎖)のようなことが起きたために、「コロナ対策による被害の方が大きいのでは」と感じる人が少しずつ増えてきたことも影響したように思います。
コロナウイルスに対する中国人…