「こんなメールが来るほどやばいのか」 デジ庁発足1年、理想と現実

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女屋泰之 阿部彰芳 宮田裕介 渡辺淳基
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経済インサイド

 「赤プリ」の愛称で知られたグランドプリンスホテル赤坂の跡地に立つ高層ビルに入るデジタル庁。決まった自席のない「フリーアドレス」方式の職場で働く職員たちの間では、一通のメールについての会話で持ちきりだった。

 昨年12月24日、クリスマスイブの日に全職員に来たメールの内容は、発足からの組織の「混乱」に関する局長級幹部からの「おわび」。折しも政府全体のデジタル化の方針をデジ庁が初めてまとめた「重点計画」が、政府として承認された晴れの日だった。ある職員は「こんなメールが来るほどデジ庁はやばいのかと。年末の慌ただしさも思わず吹き飛んだ」と振り返る。

 昨年9月、当時の菅義偉政権の肝いりで発足したデジ庁は「日本のデジタル化の司令塔」だ。新しい仕事をスピード感をもって遂行するため、民間からも専門人材を採用した官民一体の組織だ。

 この1年では、新型コロナワクチンの接種記録を証明するアプリをわずか3カ月で開発し、昨年12月に運用にこぎつけた実績も示した。「従来の役所とは違う民間人材のスピード感や利用者目線があったからこその成功体験だ」(デジ庁幹部)

 ただ、職員たちは大きな悩みも抱えていた。

コロナ禍で明らかになった「デジタル敗戦」からの再起のため、デジタル庁が発足して1年が経ちました。「日本のデジタル化の司令塔」の理想と現実とは。

「司令塔」の理想と現実

 昨年11月に実施したアンケ…

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    ドミニク・チェン
    (情報学研究者)
    2022年9月1日18時58分 投稿
    【視点】

    昨年、日本社会のDX(デジタルトランスフォメ―ション、デジタル化)に関するシンポジウムに登壇した際に、日本のDXを100点満点で採点したらいくつ?と問われ、わたしは「30点」と答えました。根拠のある数字ではなく、適当な体感値ですが、他の登壇

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    前田直人
    (朝日新聞デジタル事業担当補佐)
    2022年9月1日18時2分 投稿
    【視点】

    DXに限らず、官庁組織は一般的に、前例踏襲が得意で新しいことに取り組むのは苦手な傾向があります。実際に国民生活に大きな影響を与える組織ですから、何でも思いつきで変えればいいというものではないのもその通りですが、利便性やコスト面などで国民の大

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