夏目漱石「三四郎」(第四十回)四の十二
美禰子が掃くあとを、三四郎が雑巾を掛ける。三四郎が畳を敲(たた)く間に、美禰子が障子(しょうじ)をはたく。どうかこうか掃除が一通り済んだ時は二人とも大分(だいぶ)親しくなった。
三四郎が馬尻の水を取り換(かえ)に台所へ行ったあとで、美禰子がハタキと箒を持って二階へ上(のぼ)った。
「ちょっと来て下さい」と上…
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