夏目漱石「三四郎」(第三十七回)四の九

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 翌日学校へ出ると講義は例によって詰らないが、室内の空気は依然として俗を離れているので、午後三時までの間に、すっかり第二の世界の人となり終(おお)せて、さも偉人のような態度を以て、追分の交番の前まで来ると、ばったり与次郎に出逢った。

 「アハハハ。アハハハ」

 偉人の態度はこれがために全…

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