憲法改正、賛成？反対？　１００人に聞く

アベノミクスと憲法改正に対する考えに近いところにシールを貼る有権者＝ＪＲ名古屋駅前

：　　

　参院選の争点の一つである憲法改正。自民党は、９６条を改正して改憲手続きの要件緩和を目指し、戦争放棄を定めた９条改正も視野に入れる。ただ、選挙戦では安倍政権が掲げる経済政策アベノミクスの行方に多くの関心が集まり、議論は低調だ。憲法改正、賛成ですか、反対ですか。

　９日、候補者が街頭演説に訪れたＪＲ名古屋駅前と名古屋市中村区の豊国（とよくに）神社で、憲法改正の賛否とアベノミクスへの評価について、１００人にシールを貼ってもらった。

　憲法改正は賛成４６人、反対５０人。改正反対がわずかに上回ったが、そのうち３割はアベノミクスを「評価する」と答えた。

　午前８時すぎ、三重県内からＪＲ名古屋駅に通勤してきた会社員の男性（４８）は「９６条改正は９条改正の前触れで戦争につながる」と改憲反対を明言したが、アベノミクスには「株価が上がり、これから実体経済が良くなる」と期待した。

　静岡市の製造業の男性（２７）も改憲に反対としたが、安倍政権の経済政策は「成果が出ている」と評価。投票基準についてもこう語った。「憲法より経済を優先して決める」

　豊国神社は、毎月９の付く日に開かれる「九の市」が開かれていた。参道に露店が並び、大勢のお年寄りでにぎわいを見せた。

　戦前生まれの人には、改憲に強い抵抗感を示す人が目立った。

　名古屋市中村区の加藤真一さん（７８）は「若い人は戦争を知らない。経済だけで浮かれていると危険だ」。同区の井上敏子さん（７０）も「今の憲法で戦後、平和になった。憲法を変えることは、国の体制を変えることにつながる」と懸念を示した。

　一方、「時代にあったものにしていくべきだ」（男性公務員、５２歳）と、改憲を認める意見は幅広い世代から上がった。

　愛知県清須市の大学４年西垣陽平さん（２２）は高校時代を広島で過ごし、「核兵器には絶対反対」という。しかし、改憲賛成の矢印の先端あたりにシールを貼った。「昔のままの憲法では若い人の意見が通りにくい気がする」というのが理由だ。「軍を持つからといって戦争するわけじゃない」。奈良市の男性（７２）は「軍備を拡大すべきだ。中国になめられてはいけない」と話した。

　アベノミクスへのはっきりした評価に比べ、憲法への関心の薄さをうかがわせる答えも少なくなかった。

　愛知県内の金融業男性（２４）は「安倍政権で市場の反応は良くなった」と評価の理由をきっぱり口にしたが、憲法論議には「関心がない」と言葉少なだった。名古屋市中村区の主婦（４０）も「よく分からない」と戸惑う。

　豊国神社の露店で靴を売っていた三重県内の男性（６３）は「両親から戦争の悲惨さは聞いたが、今まで憲法は考えたことがなかった」と漏らした。「過去に痛い目にあったから、改正しても戦争に突入することはないでしょう」

《参院選の憲法論議》

　９６条は憲法改正の発議要件を衆参各院で３分の２以上の賛成が必要と定めている。自民党の憲法改正草案は、この要件を「衆参それぞれの過半数」に緩和。戦力不保持を定めた９条の改正では「自衛権の明記」や「国防軍の設置」を挙げている。維新は９６条改正に賛成、みんなは憲法改正による首相公選制の導入を主張している。

豊富なコンテンツをお読みいただくには、会員登録が必要です。

無料会員登録はこちら

朝日新聞デジタルのサービスご紹介はこちら