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【鬼原民幸】福島第一原発周辺の手抜き除染問題で、石原伸晃環境相の動きが鈍い。5件の手抜きは認めたが、横行していたことは今なお認めていない。29日の定例記者会見では「過去の政権で行われたこと」と強調。自らに火の粉が降りかかるのを避ける姿勢がにじむ。
環境省が5件の手抜きを確認したとする報告書を公表したことを受け、石原氏は25日の衆院環境委員会の閉会中審査に臨み、「恒常的なのか一部なのかを確かめる」と述べた。朝日新聞や環境省に手抜きを認める証言が相次いで寄せられている中、5件以外に広く行われていることを簡単には認めない構えだ。
背景には、除染事業をゼネコン頼みで進めている事情がある。手抜き横行を認めたらゼネコン各社の指名停止処分に発展し、除染が立ち往生しかねない。石原氏は25日の国会で「これから不適切なことをやれば指名から外すなど厳正に対処する」とする一方、29日は「報告した(5件の)以上の事例は見つかっていない」とし、当面は横行していたかどうかの判断に踏み込まない姿勢をみせた。
一方、民主党政権の責任は強調している。25日には「民主党の皆さんとなぜ不適切な除染が発生したのか意見交換している」とあえて語り、不十分な枠組みをつくったのは民主党政権だとさりげなくアピール。29日にも「過去の政権で行われたことの検証はしっかりと行う」と強調した。
朝日新聞が手抜き除染を報道した4日の行動について、石原氏が明確に説明していないことも尾を引いている。25日の国会で民主党と日本維新の会から4日の所在地などについて追及されたが、はっきり答弁しなかった。安倍晋三首相は「(手抜きは)被災者の信頼を裏切るもので許されない」と表明したが、7日に発足させた除染適正化推進本部のトップは井上信治環境副大臣で、石原氏は出席したことがなく、国会答弁も副大臣らに任せる場面が目立った。
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