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2012年11月13日16時46分
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おいでよ「将棋女子」 大会賞品に化粧品・カフェで講座

写真:100人を超す女性が参加した女子アマ団体戦=4日、東京都港区拡大100人を超す女性が参加した女子アマ団体戦=4日、東京都港区

 【村瀬信也】将棋を楽しむ女性がじわりと増えている。団体戦を企画したり、カフェでレッスンしたりと、広める側も工夫を重ねている。

 今月4日。東京都港区のビルの一室に、将棋盤に向かう女性たちがずらりと並んだ。

 日本女子プロ将棋協会(LPSA)が主催する第6回女子アマ将棋団体戦。参加者の棋力は有段者から初心者まで様々で、今年は過去最多の26チームが出場した。女性5人で1組だが、チームが組めない人同士の混成チームも。

 男性が多い一般の大会と違い、将棋を指す以外にも楽しめる工夫が凝らされている。上位入賞チーム以外に、服装がおしゃれな参加者を「ベストドレッサー」として表彰する。賞品には、化粧品やひざ掛けといった女性向けの日用品が目につく。

 参加した東京都中央区の会社員、曽我裕子さん(39)は今年、駒の動かし方を知ることから始めた。「夫の趣味が将棋なので興味を持った。少しずつ強くなって長く続けられれば」

■団体戦わいわい

 将棋大会は個人戦が一般的だが、出場者の中には団体戦しか出ないという人もいる。大会を企画した中倉宏美女流二段は「男性に比べると、女性は他の人と一緒に楽しもうとする人が多いと思う。団体戦は自分が負けてもチームが勝つことがあり、初心者でも出やすいのでは」と話す。

 普及活動に力を入れる高橋和(やまと)女流三段は今年1月、全く将棋を知らない女性を対象にした将棋レッスン「Shogiotome(将棋乙女)」を始めた。ツイッターで参加者を呼びかけたところ、予想以上の反響があったという。

 会場は東京・下北沢のカフェ。レッスンは会社帰りに行きやすい平日夜に開き、高橋女流三段が駒の動かし方から教える。合間には、軽食をとりながらみんなでおしゃべりをする。メンバーは現在約40人に達しており、前出の団体戦には6チームが出場した。

 千葉県浦安市の会社員、作田夏美さん(39)も団体戦に出た1人。将棋に関心はあったものの、学ぶ環境が周囲になかったという。「(マンガの)3月のライオンで興味を持った。将棋は勝ち負けがはっきりしていて、あいまいでないところがいい」と話す。

 高橋女流三段は東京・吉祥寺でも、主婦層を対象にした「Shogimadame(将棋マダム)」を開いている。「これまでは将棋を広める側の発信が足りなかったと思う。将棋を始めたいと思っている女性は、まだまだいるはず」と話す。

 日本将棋連盟も女性への普及を意識。東京・将棋会館の道場は全面禁煙にし、女性2人以上で来た場合の割引制度を導入した。平日の日中でも大人の女性の姿が目につくようになったという。毎週土曜日の「レディースセミナー」の人数も増加傾向で、毎回15人ほどの受講者がいる。

 ただ、女性が将棋を続ける環境が整っていないのも実情だ。転居などで一緒に楽しむ人が身近にいなくなると、やめる人も多い。催しやレッスンも、盛んなのは都市部だ。

 高橋女流三段は「級位者でも快適に対局できるような場所があれば」、中倉女流二段は「勝つ喜びを知れば、続けたくなる。その面白さにいかに気づいてもらえるかが課題」と話す。

■仲間と続けよう

 そんな中、横のつながりを強くして将棋を続ける人を増やそうという試みもある。

 関東地方の大学の女子将棋部員らで作るサークル「lilac(ライラック)」。女子学生の将棋人口を増やそうと、昨年8月に立ち上げられた。現在は約10人。棋力は有段者から級位者まで様々だ。

 力を入れているのは、中高時代の経験者の勧誘だ。中高の部活でやっていたものの、大学に入るとやめてしまう女性も多い。将棋部に行っても周りが強い男性ばかりで居づらかったり、そもそも将棋部がなかったりするからだ。

 今年5月には、女子高生を対象にした大会を初めて開いた。大学進学後にも一緒に将棋を続ける仲間がいることをアピールする狙いだ。関東地方を中心に14人が参加。対局後、お菓子を食べながら高校生と大学生で交流を図った。

 ライラック代表の日本大2年小野ゆかりさん(20)は「大会などで友達と会うことが将棋を続けるきっかけになる。自分たちの取り組みがその役割を果たせれば」と話している。

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