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2012年3月15日16時26分
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高校入試「理科に別の正解」 兵庫県教委、出題ミス否定

写真:出題ミスのあった問題:問題となっている理科の設問。中央にあるおもりとばねを人の手で引き上げた時の仕事量を尋ねている拡大問題となっている理科の設問。中央にあるおもりとばねを人の手で引き上げた時の仕事量を尋ねている

 12日に実施された兵庫県内の公立高校入試の理科で、「県教委発表の解答とは別の正解がある」「問題が成立していない」などの指摘が、採点する複数の高校から県教委に寄せられた。県教委はこれを受け、高校側が主張する別の解答も「正解」として扱う。しかし、出題ミスにはあたらないとし、全員正解の処置は取らず、公表もしないという。

 問題となっている設問は大問IIIの1の(4)。ばねを用いた実験で、人の手がおもりをつけたばねを持ち上げる際、「人の手がした仕事は何J(ジュール)か、求めなさい」と尋ねる内容。配点は100点満点のうち2点。

 県教委によると、この実験では、ばねが伸びて、おもりが持ち上がる。ばねを伸ばす仕事は「0.025J」で、おもりを持ち上げる仕事は「0.01J」。本来の正解は、この二つを足した「0.035J」という。

 しかし、「ばねに対して人の手がする仕事(弾性力による位置エネルギー)」は、中学校の学習指導要領には含まれていないという。このため県教委は、人の手がおもりに対してした仕事の「0.01J」が、「中学生レベルの正解」として発表した。

 これに対し、高校関係者らからは「それならば、『人の手がおもりに対してした仕事は何Jか、求めなさい』と正確に問うべきで、問題文が不適切だ」という批判が出ている。

 県教委は「誤解を生む可能性のある表現だったが、問題文としては成立しており、前後の問題から解答を導き出せる」と判断。中学生レベルの解答の「0.01J」でも、本来の解答である「0.035J」でもいずれも正解として扱うことにしたという。

■潔く認め措置を

 中学生には事実上解けない問題を県教委は問うたことになり、明らかな出題ミスと言える。潔く認めて経緯を公表し、適切な措置を取るよう求めたい。

 高校教育課によると、「0.01J(ジュール)」という解答以外に、塾通いなどで「学習が進んだ子供」(同課担当者)であれば、「0.035J」と答えることは「想定していた」という。それが事実ならば、なぜ、不適切な問題文を見直さず、放置したのだろうか。

 この問題の真の正解は、「0.035J」である。それは県教委も認めている。「習った覚えはないのに、どう解けば……」と悩んだ受験生もいただろう。「中学校で学ばない部分は度外視して、答えてもらえばよかった」というのは詭弁(きべん)だ。(日比野容子)

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