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2011年11月23日1時3分
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太陽熱発電、震災復興モデルに 長野・富士見で実験

 長野県富士見町の旧南中学校敷地で、光学機器メーカー「三鷹光器」(東京都三鷹市)が、太陽光を集める「ビームダウン式太陽熱集光装置」と蓄熱装置を組み合わせてエネルギーをつくる実験を始める。一部の特殊技術を除き、装置の組み立てを含め十数社の地元企業が参加する方式で、実験を通じ同社は東日本大震災被災地復興のモデルをつくりたいとしている。

 装置は、太陽を追尾する新型の反射鏡(ヘリオスタット)で集めた光を、高い位置にある鏡でさらに地上に置かれた集熱装置に集める、同社の特許技術を使う。発生した高熱を溶融塩といわれる特殊な液体を満たした蓄熱装置にため、発電する。

 通常の太陽光発電が夜間は発電せず、昼間も発電量が天候に左右されるのと違って、安定した出力を維持できる特徴がある。

 今回使われるヘリオスタットは直径50センチの鏡10枚で1基。これを約200基、旧校庭に並べ、高さ20メートルの塔の大きな凹面鏡に光を集め、地上の集熱装置に光を落とす。出力250キロワット級の発電装置となる。「太陽蓄熱発電」実用化へのさまざまなデータをとるほか、余熱で農業用ハウスの温度調節の実験もする。元校舎は装置の生産拠点となる。

 事業費約3億円で、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の補助金2億円を受ける。

 同社の中村勝重社長によると、この装置をつくるのに様々な技術が必要だが、その多くは町内の企業で請け負うことが可能。「半導体を使う通常の太陽光発電装置は大手しかできず、地域の活性化につながらない。ヘリオスタットだと、地元の雇用をつくりだせる」と強調する。

 同社富士見町研究所として、技術面と同時に、地域での雇用創出も含めて大規模な実用化への試みがスタートした。来年夏には装置が完成の予定だ。中村社長は「将来、震災被災地の海岸沿いでこの方式により発電し、余った熱を利用してハウス栽培や海水の淡水化ができるといいと考えている。地元企業の参加で復興につなげたい」と夢を語る。(山田新)

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