現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. 特集
  4. 東日本大震災
  5. 記事
2011年8月30日21時19分
このエントリーをはてなブックマークに追加
mixiチェック

保安院から電力3社への「やらせ」指示認定 第三者委

 経済産業省原子力安全・保安院による原子力関連シンポジウムでの「やらせ」指示の問題を調べている第三者調査委員会(大泉隆史委員長)は30日、中間報告をまとめ、公表した。九州、四国、中部の各電力会社の原発に関連するシンポで、保安院から各電力会社に賛成する発言をするよう3件の指示があったと認定。さらに動員や発言指示があった疑いが5件あると明らかにした。

 大泉委員長は記者会見で、発言の指示について「個人的には不適切だと思うが、最終的にどう評価するかはさらに調査を進めてからだ」と述べた。委員会は9月末をめどに最終報告を行う方針だ。

 中間報告で調査状況が公表されたシンポは、玄海原発(九州電力)、伊方原発(四国電力)、浜岡原発(中部電力)のプルサーマル計画の必要性や安全性を地元住民に訴えるために2005〜07年に国が主催して開催したもの。

 いずれのシンポでも、当時の安全広報課長や職員が各電力会社の社員らの出席を要請し、賛成意見を述べるよう求めたという。委員会の聴取に対し、課長は「非常にまずいことをしたとは思っていなかった」などと話しているという。

 さらに、06年10月に開催された東北電力女川原発の耐震安全性に関係する住民説明会3件で保安院が動員要請▽資源エネルギー庁が10年5月の九州電力川内原発の公開ヒアリングで動員要請▽同庁が11年6月の同電力玄海原発の佐賀県民向け説明番組で発電再開に向けて意見表明するよう要請――との疑いがあるとした。

 中間報告を受け、深野弘行保安院長は記者会見を開き「地域の方々の意見が正しく表に出てこなかった可能性がある。地域の方の意見が自然に出てくるべきだった」と謝罪。「組織文化の醸成が不十分だったと考えざるを得ない」と述べた。

 また、海江田万里経産相は「原子力政策に対する国民の信頼を回復するためには、この機会に全てのうみを出し切る必要がある。引き続き調査をお願いしたい」との談話を発表した。(田内康介)

     ◇

 東北電力は30日、朝日新聞の取材に「第三者調査委員会の調査に協力しているところ。調査結果が発表されるまで、当社からコメントするのは差し控えたい」(広報・地域交流部)と答えた。

検索フォーム

朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内事業・サービス紹介

東日本大震災アーカイブ

グーグルアースで見る被災者の証言

個人としての思いと、かつてない規模の震災被害、その両方を同時に伝えます(無料でご覧いただけます)

プロメテウスの罠

明かされなかった福島原発事故の真実

福島第一原発の破綻を背景に、政府、官僚、東京電力、そして住民それぞれに迫った、記者たちの真実のリポート

検索

亡くなられた方々

| 記事一覧