東日本大震災で延期されていた岩手県大槌町長選が28日投開票され、元町総務課長の碇川豊氏(60)=無所属=が、前町議会議長の岡本大作氏(62)、環境団体代表の小川文一氏(65)を破って初当選した。被災で大幅下落も心配された投票率は73.41%で、前回(78.14%)から4.73ポイント下回るにとどまった。
津波で加藤宏暉前町長が犠牲になってから続いていたトップ不在が、170日ぶりに解消された。町長不在の間、副町長や総務課長が職務代理者を務めてきたが、政策的な決断は難しく、復興計画などの遅れが指摘されていた。
碇川氏は町総務課長を7年5カ月務めるなど豊富な行政経験を持つ。
壊滅的な被害からの復興のかじ取りを誰に託すかが問われた選挙だったが、震災前の昨年末に総務課長を辞職して立候補表明していた碇川氏が支持を浸透させ、出遅れた岡本氏らを抑えた。
町は震災で人口の1割が死亡・行方不明となり、残った住民の半数近くが町内48カ所の仮設住宅などで暮らす。当初は所在が確認できない有権者も多く、告示前には町選挙管理委員会が東京・霞が関の総務省で記者会見し、町外や転居先不明の有権者に異例の投票呼びかけもした。