「なんですか、これは。突然の話ではないですか」。菅直人首相との27日の会談で、放射性物質を含む廃棄物の「中間貯蔵施設」を県内に整備するよう要請された福島県の佐藤雄平知事は声を荒らげた。「非常に困惑している。震災から6カ月間、猛烈に苦しんでいる福島県には極めて重い問題です」。怒りを押し殺した顔で首相にそう答えた。
県庁内で行われた会談の1時間前、知事の表情は穏やかだった。念願だった政府と県による「福島復興再生協議会」の初会合が開かれたからだ。首相はこの席で、「原子力を推進してきた国の立場を含め、おわびする」と謝罪。知事は報道陣に「今日までの総論と感じた」と評価していた。
菅首相は、長期間ふるさとに帰れない住民が出る見通しも「宣告」した。佐藤知事は会談後、「そりゃショックを受けるだろうね。一日も早く帰りたいと思っているわけだから」と住民の気持ちを代弁した。
原発がある自治体の首長は、政府に対する不信を募らせた。
福島第二原発がある富岡町の遠藤勝也町長は、県側と政府との「福島復興再生協議会」の初会合に出席していたが、その場では菅首相から中間貯蔵施設への言及はなかった。「なぜ我々の前で言わなかったのか。二枚舌ではないか」と憤り、「中間といっても、貯蔵は数十年になる。事実上の最終処分と変わらない。論外だ」と切り捨てた。
第一原発が立地し、高い放射線量が測定される地区がある大熊町の渡辺利綱町長は会合に出ておらず、首相発言をテレビのニュースなどで知った。長期間戻れない人が出る見通しについて「町にはなんの連絡もない。大事な決定があるときは地域の声を聞いてほしかった」と不満を口にした。