菅政権は26日、東京電力福島第一原発事故で飛散した放射性物質を除去するための「除染に関する緊急実施基本方針」を正式決定した。国の責任で除染に取り組むことを明記し、住民の年間の被曝(ひばく)線量を2年後までに半減させることが柱。
復興対策本部、原子力災害対策本部、緊急災害対策本部(いずれも本部長・菅直人首相)の合同会合で決めた。今回が菅政権として最後の会合で、菅首相は「子どもたちが安心できる地域に戻していくように全力を挙げたい」とあいさつした。
方針は今後2年間の除染の目標をまとめた。年間の被曝線量は除染をしなくても、風や雨といった自然要因などで2年後までに約40%減少すると試算。さらに土壌やがれきなどの除染に取り組むことで10%以上削減できるとし、年間の被曝線量を現在よりも約50%減らすとしている。放射線の影響が大きい子どもについては、学校や公園などの徹底的な除染を行い、自然要因と合わせて約60%減らす。
こうした取り組みで、年間の被曝線量が避難の基準となる20ミリシーベルト以上に達する地域を段階的かつ迅速に縮小することをめざす。除去した土壌やがれきの処分場を国が整備するまでの間は、市町村や自治会ごとに仮置き場を設け、現地で管理することを求める。
会合では、インフラ設備などの本格復興に向けた工程表と事業計画も正式決定した。岩手、宮城、福島3県で津波被害を受けた農業用施設を5年間で本格復旧させ、農地はヘドロの除去や除塩の作業を進めて3年以内の復旧をめざす。生産・流通の拠点となる漁港は2013年度末までに復旧のめどをつける。