福島第一原発が想定を超える高さ10メートル超の津波に見舞われる恐れがあると東京電力が東日本大震災前に試算していた問題で、東電は25日、原子力担当の副社長が当時、試算結果を把握していたと発表した。
担当部局が津波の試算のやり方を土木学会で審議するよう求めることを決め、2008年6月に原子力・立地本部の武藤栄副本部長(当時)に試算結果を伝えたという。10月に学会に要請した後、武黒一郎副社長(当時)にも伝えた。
同年12月、東電は別の方法による試算も実施。その二つの試算結果を今回の震災4日前の今年3月7日に経済産業省原子力安全・保安院に伝えたが、公表していなかった。
保安院の森山善範原子力災害対策監は25日、会見で「試算であっても評価の材料になり、国の審議会で検討すべきだった。東京電力は早く報告し公表すべきだった」と東電を批判。
同じ会見の場に出席した東電の松本純一原子力・立地本部長代理は「試算は仮定を積み重ねた不確かなもので、公表しなかった。(今後公表するかは)少し検討したい」と述べた。