電力使用制限令に基づく節電計画を達成しようと、航空自衛隊が戦闘訓練を取りやめたり、電力事情に余裕のある地域での訓練に切り替えたりしている。那覇基地(沖縄県)には24日、約1600キロ離れた百里基地(茨城県)からF15戦闘機など12機が飛来。25日から9月下旬まで周辺海域で訓練する。
東日本大震災後、防衛省は東京電力と東北電力の管内にある自衛隊に、7〜9月にかけて前年比15%の節電をするよう指示した。
このため百里基地では、7〜8月上旬にF4戦闘機15機が千歳基地(北海道)へ移動。対空砲撃部隊も築城(ついき)基地(福岡県)や新田原(にゅうたばる)基地(宮崎県)で訓練をおこなった。
北陸電力管内の小松基地(石川県)は、8月8〜21日に戦闘機などの飛行訓練を中止した。東京電力管内の入間基地(埼玉県)での管制が必要になるためだ。「レーダーや管制などの通信には、多くの電力が使われる」と空自幹部。
那覇基地では、約1カ月にわたり百里基地の隊員110人が寝起きする。空自は日常生活や機体整備、夜間訓練時の照明などに必要な電力を節約できると見込み、百里基地は「15%という削減目標の1割分が達成できる」と試算する。
沖縄電力によると、県内の電力使用率は8月中、70%台後半で推移しており、余裕があるという。
一方、陸自と海自は節電のための訓練変更はせず、自家発電機を使ったりして乗り切る。陸自幹部は「野外演習の際は、もともと自家発電で対応してきた。特に問題はない」と話す。