福島県南相馬市は、緊急時避難準備区域内にあるため閉鎖している小中学校12校のうち5校について、10月上旬にも使用を再開する方針を固めた。政府が9月上旬にも避難区域設定を解除するのを前提に、学校敷地内の除染などを進めて再開し、市外へ転出している子どもたちの帰還を促す考えだ。
緊急時避難準備区域は東京電力福島第一原発から20〜30キロ圏を中心とする地域。同区域がある5市町村は現在、設定解除に向け、インフラ復旧や除染の計画を作成中で、このうち南相馬市は24日、学校の再開方針を盛り込んだ計画案を県に提示した。
南相馬市では、同区域内の8小学校と4中学校を閉鎖している。これらの学校は市内の区域外の学校に間借りする形で授業をしており、今月12日現在、児童・生徒1569人が在籍。一方、住民票を市内に残したまま市外の学校に通う子どもも2379人いる。
計画によると、10月上旬にも自校での授業再開を予定しているのは、大甕(おおみか)、原町第一、原町第三の3小学校と、原町第一、原町第二の2中学校。市は再開の条件として、9月末までに校舎や校庭の除染を進める。また、校舎や体育館が避難所になっている2校は9月末までに避難所としての使用をやめる。
市は、残る7校についても、施設の修繕や除染を進め、来年4月の新年度開始までに再開する計画だ。
南相馬市の住民約7万1千人のうち4割以上が現在市外で避難生活を送っている。避難生活が長期化するなか、市は学校の再開が住民の帰還の呼び水になることも期待。市教委の担当者は「除染を徹底して行い、住民が安心して戻って来られる環境をつくりたい」と話している。(木原貴之)