国の原子力災害対策本部は24日、東京電力福島第一原発事故による今後の放射線量を予測する手法をまとめ、原子力安全委員会に提出した。除染をしない場合、雨風の影響などで2年後には線量が4割減少する試算になるという。安全委も了承し、今後の除染方針を決める際の参考にする。
現在、被災地で放射線量に影響を与えているのは、原発から飛散した半減期が約2年のセシウム134と約30年のセシウム137だ。ヨウ素131は半減期が8日で、現在は検出限界未満に減った。ストロンチウム90なども検出されているが、線量への影響は小さいという。
セシウム134と137はほぼ1対1の割合で存在し、線量に影響を及ぼすエネルギーは134の方が高い。また、過去の核実験で田畑に蓄積したセシウム137は、雨風の影響で18.4年で半減するとの結果も示した。
これらをもとに、2年後にセシウム134が物理的に半減するのに加え、セシウム137も平地の田畑などでは雨風に流されたり飛ばされたりして、陸地での線量は4割減ると試算した。たとえば、毎時50マイクロシーベルトの高線量の警戒区域なら、除染などの手を加えなくても、2年後に30マイクロシーベルトになる計算だ。(佐藤久恵)