東京電力は、福島第一原発の放射性物質の放出量を詳細に調査し始めた。現在の放出量は毎時2億ベクレルと推計していたが、推計のもとになる測定をした時、降り積もった放射性物質がふたたび舞い上がった分を含んだ疑いがあるという。敷地内1カ所と周辺地域の10カ所に水を張ったおけを置き、降ってくる放射性物質の濃度を見直す。
工程表の第2段階(ステップ2)で目指すのは新たな放射性物質の放出の抑制だ。原発の敷地境界で、降ってくる放射性物質による被曝(ひばく)量を年間1ミリシーベルト以下に抑えるのが目標。
東電は7〜8月、原子炉から約1キロ離れた西門で放射性物質の濃度を測定。その濃度から1時間あたりの放出量は2億ベクレルと推計した。事故時の約1千万分の1、6月下旬の計測の5分の1で、被曝線量なら年0.4ミリシーベルトに相当するとしていた。
ただ、この値について東電は「地面の近くで測ったため、降り積もった放射性物質による放射線まで測り、多く見積もったかもしれない」と判断、より詳しく調べることにした。
水おけは地面からの高さが90センチの台や建物の屋上に置く。原発の敷地内に1カ所置いたほか、5〜10キロ離れた富岡、浪江、双葉、大熊4町計10カ所で設置を進めている。22日までに8カ所で設置を終えた。
水おけ以外にも、1〜3号機の原子炉建屋の上空や格納容器内のほか、燃料プールから出る蒸気など新たに12カ所で測る。9月の工程表見直しまでに正確な放出量を計算する。(杉本崇)