菅政権は、東京電力福島第一原発事故で飛散した放射性物質を除去するための基本方針を固めた。除染に対する国の責任を明記する一方、汚染された土壌やがれきの処分場を国が整備するまでの間、地元に仮置き場を確保するよう求めている。
原子力災害対策本部(本部長・菅直人首相)が近く「除染に関する緊急実施基本方針」として正式決定する。27日に福島市で開かれる国と県による「原子力災害からの福島復興再生協議会」で地元自治体に示す。
基本方針は「国は責任をもって除染を推進する」と明記する。除染の暫定目標としては、積算の放射線量が避難の目安となっている年20ミリシーベルト以上の地域を速やかに縮小することを掲げた。さらに年20ミリシーベルト以下の地域も、年1ミリシーベルト以下まで引き下げることを長期的な目標にしている。子どもについては、2年目の積算放射線量を1年目よりも一定割合、削減することをめざす。
年20ミリシーベルトを上回り、住民が避難している警戒区域や計画的避難区域の除染は、国が主体となって実施する。それ以外の地域は基本的に市町村主体で進めるが、国が財政支援や除染・測定機器の提供、専門家の派遣などで全面協力する。
除去した汚染土壌やがれきの処分場については、国が建設の工程表を早急に作成する。ただ、処分場が整備されるまでの間は「市町村やコミュニティーごとに仮置き場を持つことが現実的」として、当面は福島県内に保管するよう求める。
細野豪志原発担当相は「福島を廃棄物の最終処分場にすべきではない」と話しており、福島県外に処分場を建設する意向だが、処分用地は決まっていない。処分場が整備されず、仮置き場に汚染がれきが置かれ続ける可能性もあり、地元自治体や住民からは懸念する声が上がりそうだ。
基本方針とあわせて「市町村による除染実施のガイドライン」も公表する。仮置き場に遮水シートを敷くなどの管理方法を定め、敷地境界では放射線量の測定を週1回程度実施する、としている。