菅政権は、東京電力福島第一原発事故の周辺地域で実施している居住禁止措置について、期間を最低でも10年とする方向で調整に入った。長期的な避難を余儀なくされる住民に対する支援策とあわせ、近く政権として地元自治体の関係者らに説明する。
27日に福島市で開く「原子力災害復興再生協議会」の初会合で、菅直人首相は、居住禁止とした土地の借り上げなどの賠償措置を検討していることを含め説明する方向で調整している。首相は22日朝、記者団から「地元への説明は27日か」との質問に「そうなるかもしれない」と答えた。
政権は、原発から半径20キロ圏内で立ち入りを禁止している「警戒区域」のうち、継続して高い放射線量が観測される地域については長期間居住を禁止する方針。福島県双葉、大熊両町で原発から半径3キロ圏内の地域を想定している。原子炉内の燃料の取り出しを含む廃炉の作業に数十年はかかる見通しで、政権はこの現状を踏まえ居住禁止期間を検討している。枝野幸男官房長官は22日の記者会見で「原発近くを中心に大変高い放射線量の地域があり、除染対策を講じても長期にわたって住民が戻るのが困難な地域が生じる可能性は否定できない」と認めた。