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2011年8月22日3時4分
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原発周辺の土地、国借り上げ検討 居住を長期禁止

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図:原発周辺の警戒区域・計画的避難区域など拡大原発周辺の警戒区域・計画的避難区域など

 菅政権は、東京電力福島第一原発の周辺で放射線量が高い地域の住民に対し、居住を長期間禁止するとともに、その地域の土地を借り上げる方向で検討に入った。地代を払うことで住民への損害賠償の一環とする考えで、すでに地元自治体に打診を始めた。菅直人首相は今週末にも福島県に入り、自治体関係者らに説明する見通しだ。

 政権は当面、立ち入りを禁止した原発から半径20キロ圏内の「警戒区域」の中で、継続して高い放射線量が観測される地域について警戒区域の指定解除を見送る方針。福島県双葉、大熊両町のうち、原発から半径3キロ圏内の地域が想定されるが、「3キロ圏外でも放射線量が高い地域があり、範囲が広がる可能性がある」(政権幹部)との見方もある。

 警戒区域の一部では、高い放射線量が観測されている。事故発生から1年間の積算放射線量の推計は、警戒区域内の50地点中35地点で、政権が避難の目安としている年20ミリシーベルトを超え、原発から3キロの大熊町小入野では508.1ミリシーベルトを記録した。

 菅政権は、居住禁止の期間中、土地を借り上げる案を軸に検討。民主党内には土地を買い上げる案もあるが、地元では先祖代々の土地とのつながりが失われることへの懸念も強いという。費用は事故の賠償責任の対象として、東電に請求することも検討する見通しだ。

 菅首相は27日、除染対策や賠償などを地元自治体と協議する「原子力災害復興再生協議会」の初会合が福島市で開催されることにあわせ、福島県の関係者に対し、避難が長期化する地域が出ることを陳謝する方向で調整している。

 平野達男復興担当相は21日、宮城県石巻市で記者団に「戻るのに長期間かかる地域が出るのであれば、速やかに公表し、災害住宅を建設するなどの対策を考えるべきだ」と述べた。

 政権は、原子炉の冷温停止を達成するステップ2が終了する10月から来年1月の間に、警戒区域の縮小を検討することにしている。だが、除染しても放射線量が下がらない地域や、廃炉作業を進めるうえで安全性の確保が難しい地域も出るとみられ、原子力災害対策本部は8月9日、「相当長期にわたり住民の帰還が困難な区域の存在が明らかになる」との見方を示していた。

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