ホームレス・ワールドカップ(W杯)と呼ばれるストリートサッカーの国際大会が20日、パリで開幕した。東日本大震災の被災地で支援活動した日本代表チーム「野武士ジャパン」の選手らは各国参加者らに日本への支援を続けるよう求めた。
今年で9回目となる大会に、最多の53カ国・地域の64チームが参加し、日本からの参加は2年ぶり3度目。雑誌「ビッグイシュー」を通じて路上生活者らを支えるNPO法人などが後ろ盾となり、ホームレスだった経験がある選手7人が晴れ舞台に立った。
古紙回収業を始め、倉庫で寝泊まりしながら自立への道を歩み始めたキャプテンの松田良啓さん(49)は5月、1週間にわたり宮城県石巻市の漁村で活動。津波で壊れた家屋の解体作業を手伝ったり、廃材を加工したりした。地元の子どもたちとサッカーボールをけり合う場面もあった。
その映像が開幕式が催されたサッカー場の一室で流され、「自分たちがW杯でがんばることにより、少しでも日本の人々に勇気を与えたい」と松田さんが語りかけると、フィリピンやメキシコなどのチームから大きな拍手がわいた。
野武士ジャパンの最年少選手で、10代で路上生活を経験したという高城秋雄さん(22)は「サッカー選手になるのが子どものころからの夢だった。生きていて良かった」。試合は4人制で、エッフェル塔の近くのシャン・ド・マルス公園で28日まで開かれる。(パリ=稲田信司)