九州電力の「やらせメール」問題を調べている第三者委員会の郷原信郎委員長は18日、古川康・佐賀県知事の九電側への発言が問題を誘発したとの見方を変えていないことを明らかにした。知事は第三者委の調査に「やらせは依頼していない」と同日付の文書で答えたが、郷原氏は「(九電側に)影響があった可能性は十分にある」と述べた。
知事は6月21日、九電幹部3人と会談し、玄海原発(同県玄海町)の運転再開を容認する声を経済界から出す必要があるなどと発言。第三者委は知事に対し、会談後に九電幹部が作ったメモの知事発言内容が事実かどうかなどを今月14日付の文書で質問した。
知事は回答書で「確かに当日私が発言した項目について書かれている」と認める一方、「やらせメールを依頼したことはまったくない」と主張。自民党系県議が原発再開を容認するよう支持者への働きかけを九電側に依頼したとのメモの記述は「全く違う」とした。
回答書には、メモに記された発言項目ごとに「趣旨・真意」を説明する表も添付。しかし、9日の県議会特別委員会での説明と同じで、メモの記述と実際の発言の違いを具体的に示す内容ではなかった。
知事の回答を受け、郷原氏は18日、東京都内で報道陣に「一般論で言えば、社外の人との会談内容のメモを作る場合、意図的にうそを書くことは考えにくい」と指摘。「知事の発言が一連の九電の行動と無関係だったかと言えば、それは違う。何らかの影響があったとみるのが普通ではないか」と話した。
◇
〈知事発言メモ〉 古川康・佐賀県知事が6月21日朝、退任あいさつに訪れた九州電力の副社長(当時)ら幹部3人と知事公舎で会談した後、3人のうち佐賀支社長が作成。知事は(1)国主催のテレビ番組に、原発再開を容認する立場からネットを通じて意見を出して欲しい(2)自民党系県議の支持者にも働きかけをお願いしたい、などと九電側に発言したと記されている。