国土交通省は18日、東北地方などの高速道路で実施してきたトラック・バスの無料化を、8月末にも打ち切る方針を固めた。東日本大震災の復興支援として始めたが、制度を悪用し、被災地と関係のないトラックの「ただ乗り」が目立つためだ。
週明けにも正式に発表する。これまでトラック・バスは、無料区間で高速に入ったり降りたりすれば原則として料金がかからない仕組みだった。今後は、乗用車と同様に被災・罹災(りさい)証明書を持つ被災者らが乗っていることが条件となる。「復興に関係するトラック・バスの支援は続ける形になる」(国交省幹部)としている。
6月20日に始めた無料化でトラック・バスを対象にしたのは、復興物資を運んだり、支援者らが利用したりすると想定していた。悪用は主にトラックで発生。例えば無料区間の水戸IC(茨城県)などで降り、すぐUターンして同じICから高速に入って西日本などの目的地へと向かう例が問題化した。国交省が7月中旬〜8月上旬に調べたところ、水戸ICを使うトラック・バスの通行台数の12〜14%に悪用の疑いがあった。
大畠章宏国交相が7月下旬に悪用しないよう呼びかけたが改善せず、打ち切らざるを得ないとの意見が強まった。
国交省は当初、トラック・バスの無料化を8月末でいったん終え、無料化の対象をすべての車に広げる方針を示していた。だが、必要な予算を計上するはずの第3次補正予算案の検討が進まず、無料車種を拡大させるメドは立っていない。(坂田達郎、内藤尚志)