東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県の地方銀行8行の2011年4〜6月期決算が12日、出そろった。被災して借金を返しづらくなった企業・個人が増え、貸し出し債権に占める不良債権の比率は全行で3月末より上がった。
6月末の不良債権比率(単体)は、七十七(仙台市)と福島で、いずれも1ポイント超上がった。仙台、大東(福島県郡山市)、岩手も0.5ポイント近く上がった。
銀行は原則、返済が3カ月以上滞ると焦げ付きの恐れがある不良債権とみなす。5月末時点の金融庁のまとめによると、8地銀では中小企業向け融資2719億円、住宅ローン617億円の返済が滞っていた。
再び返済が始まれば不良債権も減るが、ある地銀の担当者は「復興計画や二重ローン対策など見えていないことが多すぎる。不良債権が増える可能性もある」と話す。「原発事故の避難区域では調査も難しい」(福島銀行)ことも、財務の不安材料になっている。
連結純損益は、貸し倒れ引当金の増加などで七十七や東邦(福島市)が大幅減益。大東は保有株の値下がりで赤字に陥ったが、12年3月期の通期では4億円の黒字を見込む。(西村宏治)