九州電力は玄海原発(佐賀県)のプルサーマル計画の住民説明会の関係資料の廃棄を指示した中村明・原子力発電本部副本部長(上席執行役員)と「やらせメール」問題のきっかけになった古川康・佐賀県知事の発言メモを作成した大坪潔晴・佐賀支社長(執行役員)を月内にも解任する方針を明らかにした。
九電は9月下旬に予定される第三者委の調査報告を受けて関係者を処分するとしていたが、2人は責任が重いとして処分を前倒しする。
九電は2005年にあったプルサーマル計画を巡る説明会で、社員や取引先関係者らに参加や発言を呼びかけていたことを7月29日に経済産業省に報告した。
その際、「国や県の働きかけはなく、九電の独自の判断だった」と説明していたが、中村副本部長の指示で原発部門が関係書類を廃棄するなど調査妨害をしていたことが9日発覚した。
社内の調査担当部署が資料を十分に分析できないまま国に報告をしていたことから、第三者委員会と協力して調査をやり直す。
九電幹部によると、担当者が説明会前に国や佐賀県関係者らを回って運営などについて協議していた。その際、国・県の関係者らが動員にかかわっていなかったかどうかを改めて調べる。
国主催の説明会では、当時の原子力安全・保安院の幹部が「電力会社として参加し意見を言ってほしい」などと九電側に呼びかけていたことがわかっている。一方、佐賀県の古川知事は7月30日の記者会見で、説明会の動員について「県が何かをしたことはない」と関与を否定している。
大坪支社長は、玄海原発再稼働を説明する国主催のテレビ番組放送前に原発部門トップの前副社長らと古川知事に会い、知事が「発電再開容認の立場からもネットを通じて意見や質問を出してほしい」と発言したとするメモをまとめた。また前副社長らが「やらせ」実行を決めた会合にも参加していた。