現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. 特集
  4. 東日本大震災
  5. 記事
2011年8月10日18時1分
このエントリーをはてなブックマークに追加
mixiチェック

元東電系社員が福島第二原発監視役 保安院が派遣

関連トピックス

 原子力安全・保安院が、東京電力福島第二原発で働いていた東電関連会社の元社員を、原発を監視する保安検査官として同原発に派遣していたことがわかった。元社員は3年前まで東電に出向し、同原発で保全業務をしていた。

 保安院は「検査の公正を確保するため、出身元の電力会社が運転する原発は担当させない」としているが、電力関連会社は対象から外れており、検査の甘さにつながるとの指摘がある。

 保安院は原発の安全を守るため、全国17カ所すべての原発施設に原子力保安検査官を数人ずつ常駐させ、電力会社が保安院に提出した規定が守られているかを年4回の定期検査などで監視している。規定違反などが見つかれば、保安院は電力会社に立ち入り検査や勧告を行い、運転の停止も命じることができる。

 保安院によると、福島第二原発の検査官事務所には3月まで6人が常駐していたが、退職者が出たため、5月から新たに男性検査官を派遣。保安検査などの業務に携わっているという。

 ところが、東電関係者によると、男性検査官は東電の関連会社で原発施設を設計する「東電設計」(本社・東京)の元社員。東電に出向した2004年から08年まで福島第二原発で勤務し、タービンの保全業務などを担当していたという。男性はその後東電設計に戻り、退職。今年4月、保安院に中途採用された。

 保安院は男性検査官の採用について、「原発施設での勤務経験があり、検査官業務に生かすことができると判断した」と説明。一方で、男性検査官の前職を明らかにせず、「東電出身の検査官は現在いない。検査の透明性が確保されるよう人事配置をしている」としている。

 こうした検査官の配置については、身内にも問題視する声がある。東電管内の原発に長く勤務し、検査の実情に詳しい保安院職員は取材に対し、「実質的には東電出身で、東電には元上司もいる。退職しており、検査に手心を加えない約束になっているが、検査官にとってもやりづらいだろう」と話している。

検索フォーム

朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内事業・サービス紹介

東日本大震災アーカイブ

グーグルアースで見る被災者の証言

個人としての思いと、かつてない規模の震災被害、その両方を同時に伝えます(無料でご覧いただけます)

プロメテウスの罠

明かされなかった福島原発事故の真実

福島第一原発の破綻を背景に、政府、官僚、東京電力、そして住民それぞれに迫った、記者たちの真実のリポート

検索

亡くなられた方々

| 記事一覧