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2011年8月10日3時1分
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安愚楽牧場が再生法を申請 「原発事故後に解約増えた」

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 和牛オーナー制度を運営する安愚楽(あぐら)牧場(本社・栃木県、資本金3千万円)が9日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し、財産保全命令を受けた。同社幹部によると、契約していたオーナーは約7万1千人。同社の決算書(3月末時点)によると、負債額は619億8700万円。

 同社幹部は朝日新聞の取材に「契約上、オーナーから繁殖雌牛を買い戻さなければならず、その費用を含めると4千億円以上が必要になる」と語った。しかし、同社の再建計画案では、牛の買い戻し額は元本の1割程度と想定されており、オーナーにとっては大幅な元本割れになる可能性が高い。

 同社幹部によると、東京電力福島第一原発事故のあった3月以降、オーナーからの解約申し込みが従来の3〜4倍に増えた。牛肉の価格や消費の急落もあって経営悪化が表面化。取引先やオーナーらへの支払いを止める一方、財務調査を弁護士に依頼していた。

 この幹部によると、再建計画案は、全国に40カ所ある直営牧場を10カ所程度に集約▽333カ所の委託牧場も縮小か廃止▽飼育規模を現状の約15万頭から数万頭に減らす▽700人近い従業員の整理――が柱。

 オーナー制度は、個人投資家らに和牛の繁殖雌牛を購入してもらい、生まれた子牛を安愚楽牧場が買い取るというもの。繁殖雌牛は同社関連の牧場で飼育し、契約終了後には買い戻す。投機目的で利用するオーナーも多いという。

 幹部は「オーナーは47都道府県に約7万1千人」と説明。繁殖雌牛の購入費や飼育・管理費、えさ代など3億円を投じているオーナーもいる。利回りはバブル期には年10%を超え、東日本大震災前で年3〜4%という。

 まず17日に神戸市、19日に東京都内でオーナーら債権者を対象にした説明会を開く予定。幹部は「和牛市場は右肩上がりを想定していたが、昨年に発生した口蹄疫(こうていえき)に次いで原発事故と、想定外の事態に見舞われた。誠意をもって経緯を説明する」と話している。(細見るい)

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