菅政権の原子力災害対策本部(本部長・菅直人首相)は9日、東京電力福島第一原発から半径20キロ以遠の「緊急時避難準備区域」について、9月上旬にも指定を解除する方針を決めた。原子炉の危険性が低下したと判断したためで、自治体ごとにつくる計画に沿って住民帰還を進める。原発から半径3キロ圏内の避難住民の一時帰宅を8月中にも開始することも決めた。
政権が指定した避難区域が解除されれば初めて。
緊急時避難準備区域は原発から半径20〜30キロ圏にあり、年間の累積放射線量が20ミリシーベルトに達するおそれがない地域。福島県広野町、楢葉町、川内村、田村市の一部、南相馬市の一部の計5市町村が対象だ。子供や妊婦、入院患者などは立ち入らないよう求められ、それ以外の人も緊急時に屋内退避や避難ができるよう準備する必要がある。住民約5万8500人のうち、約2万5千人が現在も避難している。
9日の本部会合では、原子炉冷却に失敗したり、水素爆発を起こしたりする可能性は「低くなっている」、日常的に放出される放射線量も「十分小さい」として解除を決めた。
5市町村は1カ月以内に、帰還の順序や放射能で汚染された地域の除染の進み具合、学校の再開時期などをまとめた「復旧計画」を策定。5市町村の計画がそろった段階で一斉に解除する。時期は9月上旬から下旬になる見通しだ。
一方、3キロ圏内の一時帰宅はお盆期間中は難しいといい、8月下旬以降になりそうだ。