関西電力が長期運転休止中の火力発電設備5基について、再稼働に向けて検討を始めたことが9日分かった。定期検査で停止中の原子力発電所で運転再開を見通せない中、今冬以降、供給力の上積みを求められる可能性が出ているため。ただ、設備の老朽化で再稼働には一定の時間がかかりそうだ。
長期休止中の設備は、海南発電所2号機(和歌山県)、宮津エネルギー研究所1、2号機(京都府)、多奈川第二発電所1、2号機(大阪府)の5基。合計出力は約240万キロワットで原発約2基分にあたる。
2001〜05年度に停止し、原発の新規立地が進まない場合などに備えて取り壊さずにいた。設備の一部を撤去して配管の内部がさびついてしまうなどいずれも傷みが激しいという。
関電は従来、5基について「再稼働には2〜3年かかる」(八木誠社長)としてきたが、期間の短縮が可能かの詰めを急ぐ。実際に稼働させるかの判断は、需給見通しや設備の状態、原発の運転再開の動きをにらみながらとなりそうだ。
関電は原発の運転再開ができない状況が続けば、来年2月までに福井県の関電の原発全11基が停止する。政府の試算では、関電の管内は今冬で8.4%、来夏で19.3%の供給力不足に陥るとされる。
ただ、原発の運転再開のめどが早期に立てば不要な投資となる。実際に長期休止設備を動かすかどうかはまだ見通せない状況だ。(清井聡)