九州電力の「やらせメール」問題で、原子力発電部門が6月28日の株主総会向けに、この問題の想定問答をまとめていたことがわかった。九電は「7月6日に国会で追及されて初めて問題を把握した」と説明、7月14日に経済産業省に出した調査報告書でもそうしているが、原発部門は早い段階で知っていたのに公表を避けてきたとみられる。
九電は想定問答に加えて幹部と佐賀県の古川康知事との会談の事実も報告書に記しておらず、国に虚偽報告をしていたことになる。
九電の原発部門の課長級社員は、国主催のテレビ番組(6月26日放送)に玄海原発(佐賀県)2、3号機の運転再開に賛成意見を送るよう、6月22日にメールで社員らに指示を出した。
九電の複数の幹部によると、番組放送前後から「やらせ疑惑」の指摘がインターネット上に相次ぎ、共産党も追及する姿勢を見せていた。
このため原発部門内で対応を協議し、総会で質問があったときに担当役員が答えられるよう事実関係を整理した回答案を作ったという。回答案は経営陣が目を通す可能性が高く、少なくとも原発部門の幹部はやらせ問題を把握していたことになる。
だが、やらせ指示があった当時の原発部門幹部の一人(現上席執行役員)は、7月4日の鹿児島県議会で「番組があると社内などに連絡はしたが、どうこうしろとは言ってない」とやらせを否定していた。
真部利応(まなべ・としお)社長は問題が発覚した7月6日の会見から一貫して「国会で追及されるまで知らなかった」としている。
また九電は国への報告で、テレビ番組後、複数の報道機関から「やらせ」について問い合わせがあったが、「事実関係を十分な調査をせず、見過ごしていた」と説明していた。