東北電力管内(東北6県と新潟県)の電力供給が、他社からの融通なしでは成り立たない状況に陥っている。8日は東京電力から急きょ2度の緊急融通を受けたが、供給力に対する最大使用電力の割合は96.6%に達した。7月の新潟・福島豪雨で被災した29の水力発電所の大半が復旧のめどが立たず、暑さが続くと計画停電を迫られる可能性がある。
東北電管内では8日、最大使用電力に対する供給の余力(供給予備率)が3.5%だった。東電からの融通を上限の140万キロワットまで受けた場合でも予備率は5.9%。経済産業省は予備率が3%を割り込むと、電力需給逼迫(ひっぱく)警報を出し、計画停電に備える。
8日の最大使用電力は今夏の最高となる1233万キロワットだった。福島県や山形県で予報と違って晴れたため気温が上昇、冷房需要が高まった。一方、供給力は東電からの融通60万キロワットを含め1226万キロワットを見込んでいたが、東電から融通を午前に20万キロワット、午後に30万キロワット増やし、計1276万キロワットを確保した。東電からの融通は、北海道電力から東電がもらうはずだった分を含め計110万キロワットに達した。
水力発電所の停止で約100万キロワットの供給力を失っている。冠水した設備があるうえ、発電所がある福島県の只見川流域では一部の護岸が壊れ、発電のために水を流すと災害を招きかねない恐れもある。
東北電は「融通を若干上積みできる可能性もある」というが、気温が1度上がると需要は35万キロワット程度増え、綱渡りの状況に変わりない。9日の予想最大電力は1250万キロワット、供給力は東電からの上限140万キロワットの融通を含めて1303万キロワット。予備率は4.2%で、東北電は節電を呼びかけている。さらに東電からの融通を数十万キロワット上積みする方向で調整している。(西村宏治)