東京・築地場外市場に福島県玉川村の農産物直売店が6日、オープンした。復興に役立ててもらおうと、同市場商店街振興組合が空きスペースを店側に無償で貸し出した。「緑の駅」の看板と「がんばろう ふくしま」ののぼり。「新鮮野菜、どうぞー」という威勢のいい声に買い物客が引き寄せられている。
直売店を運営するのは、福島空港近くの「道の駅たまかわ」(玉川村)にある「こぶしの里」。30坪の売り場で年約2億円の売り上げがあり、1坪あたりの売り上げで「日本一の直売所」を自負する。
契約農家から仕入れる新鮮さと安さに加え、独自に開発した加工品が人気の秘密だ。透き通った「トマトジュース」は、2006年度の「ふくしま特産品コンクール」の県知事賞に輝いた最大の人気商品。水を与えない特殊農法で育てたトマトから生まれる。
築地の10畳ほどの売り場には、トマトやキュウリ、インゲン豆といった野菜や、マスカットに似た味の「さるなしジュース」、キュウリのラー油づけ「かっぱラー」などの加工品が並ぶ。年中無休で営業は午前5時〜午後3時。マネジャーと店員2人の計3人が常駐し、1日20万〜30万円の売り上げを目指す。
震災後、玉川村の「こぶしの里」は売り上げが3割ほど減ったが、7月以降はかなり客足が戻ってきたという。築地のスペースを無償で借りられるのは来年3月までの限定。今回の出店を「首都圏への足がかりに」と語る所長の穂積俊一さん(52)は「ホテルやレストラン向けにトマトの箱売りを用意するなど、品ぞろえも売り方も工夫したい」と張り切っている。
隣のスペースには、宮城県のNPO法人などが連携し被災地支援にあたる「NPO連携・宮城復興支援センター」の直売店が開店。ワカメや昆布、牛タン、長ナス漬けといった被災企業の加工品や農産物、海産物を並べている。(西村隆次)