津波後の宮城県石巻市・牡鹿半島泊浜の海中。石が転がりウニは見えない=今年6月、水産総合研究センター提供
津波前に撮影した宮城県石巻市・牡鹿半島泊浜の海中。多くのキタムラサキウニが生息していた=昨年11月、水産総合研究センター提供
宮城県の海で、アワビやウニが津波で激減したことが水産総合研究センターの調査でわかった。特にアワビの稚貝の被害は深刻で、高見秀輝・同センター東北区水産研究所主任研究員は「漁獲量調整も考えた方がいい」と指摘している。
アワビやウニの好漁場となっている石巻市・牡鹿半島泊浜と気仙沼市・岩井崎の2海域で6月、同センターが東京大、県とともに潜水調査をした。震災前(昨年11月〜今年2月)と比べ、泊浜でエゾアワビの親貝が1平方メートルあたり2.5個から1.3個と半減。キタムラサキウニは1平方メートルあたり3.2個から0.2個と9割以上減った。岩井崎ではアワビの親貝が3割減った。
付着力の弱い小さな貝への影響は大きく、約1センチのアワビ稚貝は両海域で9割以上減った。津波で流された影響だ。海底の石もひっくり返った所があり、藻がない部分が表面に出ていると幼生が付着しにくくなる。「11月に始まるアワビ漁は資源を枯渇させないよう控えめにした方がいい」と高見研究員。岩手県の大槌湾でも同じ調査をしており、今後は両県で広域、長期的に調べていく計画だ。(中山由美)