来日中の潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は8日午前、福島市内の避難所と高校を訪れて東日本大震災の被災者や高校生と交流し、「日本は必ず立ち上がると信じています」と励ました。昼過ぎには震災で津波の被害を受けた福島県相馬市の港を視察した。
潘氏は夫人と共に8日午前9時半、福島市のあづま総合運動公園の体育館に到着。段ボールで仕切った被災者の生活スペースを訪ねて回り、日本語で「心よりお見舞い申し上げます」「国際社会も国連も応援しています」と声をかけた。
午前10時半には福島市の福島南高校を訪れて対話集会に参加。約60人の高校生を前に「震災のつらい経験から皆さんを救ってあげたいと思うが、そうした経験があるからこそ、皆さんは困難な状況にある人により優しくなれる。生きることの尊さに感謝できる人になれる」と呼びかけた。同高生徒を代表して、尾久千夏さんが「私たちは放射能という目に見えない脅威のストレスを感じながら生活を続けています。私の一番の願いは以前の福島を取り戻すことです」と訴えた。
夕方には東京で菅直人首相や松本剛明外相と個別に会談する予定。東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、原発の安全性確保の強化策を議論するほか、先月独立した南スーダンを支援する国連平和維持活動(PKO)へインフラ整備にあたる自衛隊の施設部隊を派遣するよう求める。(春日芳晃)