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2011年8月8日3時2分
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震災10日後、2度目の溶融か 福島3号機、専門家指摘

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図:東北・関東で観測された放射線拡大東北・関東で観測された放射線

図:福島第一原発3号機の再溶融のイメージ拡大福島第一原発3号機の再溶融のイメージ

 炉心溶融を起こした東京電力福島第一原発3号機で、東日本大震災から10日後、冷えて固まっていた炉心の大部分が「再溶融」したとする説を専門家がまとめ、来月、日本原子力学会で発表する。東電は原子炉圧力容器底部の温度が低下した状態(冷温停止)を事故収束の目標としているが、炉心の大半が溶けて格納容器に落下しているなら、収束に向けた工程表に影響する可能性もある。

 3号機は、炉内への注水が始まった3月13日午前9時25分まで約6時間以上空だきになり、14日午前11時ごろには原子炉建屋で大規模な水素爆発が発生。炉心が溶融し、圧力容器の底に落ちたと考えられている。

 東電の公表データによると、3号機炉内への1日あたりの注水量はその後、20日までは300トン以上を保っていた。燃料は冷えて固まったとみられる。

 ところが、注入できた量は21〜23日に約24トン、24日は約69トンに激減した。圧力容器の圧力が高まり、水が入りにくくなった可能性がある。

 旧日本原子力研究所で米スリーマイル島原発事故などの解析を手がけた元研究主幹の田辺文也さんによると、この量は炉内の核燃料の発熱(崩壊熱)を除去するのに必要な水量の11〜32%しかない。1日もあれば全体が再び溶ける高温に達する計算になるという。

 田辺さんは、大規模な「再溶融」によって高温になった核燃料から大量の放射性物質が放出され、大半が圧力容器の底から格納容器まで落ちたと推測する。

 東電は、燃料が十分に冷えたことを示す冷温停止を、事故収束の第2段階(ステップ2)終了の目標とし、政府もそれをもとに住民対策などの工程表を策定している。

 田辺さんは「公表データによると再溶融は明らか。冷温停止を判断する場合、溶融物がどこにあるかによって、温度を測るべき場所が変わる。原子炉の中で何が起きたかきちんと分析すべきだ」と指摘する。(安田朋起)

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