震災で船をなくした宮城県気仙沼市の沿岸漁業者のために7日、北海道の稚内市や利尻富士町から小型漁船15隻が運ばれてきた。「同じ海で生活しているのだから」と、北海道の漁業者が贈ってくれた。
稚内市で34年間漁労長として働いていた気仙沼市本吉町の養殖業渡会(わたらい)北友さん(62)や、稚内市在住で宮城県人会会長の中沢和一(わいち)さん(63)が稚内市や利尻富士町の漁業者に相談し、計30隻の提供を受けた。この日、渡会さんが勤めていた稚内市の丸美水産の第5朝洋丸(199トン)が気仙沼市魚市場岸壁に接岸し、小型漁船を次々と海に下ろした。
宮城県漁協唐桑支所の立花博運営副委員長は「津波で600隻が流失し、300隻しか残っていない。購入しようにも今は手に入らないので、大変助かる」。漁船をもらい受けた気仙沼市唐桑町の千葉久悟さん(77)は「これで近くマグロ船を降りる息子と一緒にアワビやウニ漁ができる」と話した。