東京電力福島第一原子力発電所で、放射能汚染水の浄化装置が7日午前8時過ぎに自動停止した。ポンプの1台が止まり、予備機も動かなかった。7時間半後に復旧したが、浄化装置のトラブルが続いていることから、経済産業省原子力安全・保安院は全てのトラブルについて、原因究明の進みぐあいを報告するよう東電に指示した。
東電によると、今回停止したのは仏アレバ社製の薬品注入用ポンプ。停止の原因は不明。薬品は、汚染水に注入して放射性物質を沈殿させ、取り除くのに使う。ポンプは複数台あり、4日には別のポンプが止まった。このときも予備機が動かなかったため浄化装置が一時停止している。
福島第一原発では現在、浄化した水を使って1〜3号機の原子炉の核燃料を冷却している。浄化装置停止中は、これまでにタンクにためた浄化済みの水を使ったため、原子炉の冷却への影響はなかったという。
浄化装置は5日にも一時停止したほか、米キュリオン社製の浄化装置で7日朝、一部のポンプが止まり、処理能力が落ちている。
東電は、原発内にある汚染水の量を減らすため、毎時50トンの水を浄化処理し、浄化装置の稼働率を90%に上げることを目指しているが、達成が厳しい状態が続いている。保安院の森山善範・原子力災害対策監は「トラブルが多いという印象だ。原因究明して装置の信頼性を高めて欲しい」と話した。
また、東電は8日午前に5号機で約40分間、冷却を停止すると発表した。電源工事を実施するためで、冷却への影響はほぼないという。(小堀龍之)