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2011年8月6日3時1分
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原発再開へ「リスクは菅首相」 九電の佐賀知事発言メモ

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 九州電力の「やらせメール」問題で、九電が作成した佐賀県の古川康知事の発言メモに、原発の運転再開につなげるため、佐賀県議会議員に働きかけるよう要請していた記述があることがわかった。再開に向けた懸念材料として、菅直人首相の言動を「危惧される国サイドのリスク」とも指摘した。九電側はメモ内容と実際の知事発言は異なるとしているが、メモが事実なら知事は政治的に厳しい状況に追い込まれる。

 古川知事は、6月21日に原発部門トップだった前副社長ら九電幹部3人と知事公舎で会談。幹部の1人が会談時の知事発言をメモにまとめていた。このメモを朝日新聞出版の週刊誌「アエラ」が入手し、複数の九電関係者が内容を認めた。

 メモは会談の日付や出席者を明記した上で、「以下、古川知事発言のみ記載」と断り、箇条書きで発言内容をまとめている。

 メモによると、古川知事は停止中の玄海原発2、3号機を再開するため「いろいろなルートで(県議会の)議員への働きかけをするよう支持者にお願いしてほしい」と要請。理由として「議員は支持者からの声が最も影響が大きい」とした。6月26日放送のテレビ番組については「発電再開容認の立場からもネットを通じて意見や質問を出してほしい」と求めた。

 さらに、こうした段取りを進めるにあたっての懸念材料として、「危惧される国サイドのリスクは『菅総理』の言動だ」と指摘した上で、「発電再開に向けて総理自身のメッセージが発せられない。首相の言動で考えているスケジュールが遅れることを心配している」としている。

 古川知事は2日の記者会見で、会談のやりとりについて「九電として何かをやってほしいという意味ではなかった」として、「やらせ」の指示は否定した。ただ、県議への働きかけや菅首相の批判部分には言及しなかった。

 九電の第三者委員会は実際の発言内容と食い違っていないか調べている。内容が事実であれば、原発の運転再開を中立の立場で判断するとしていた知事自らが、再開に向けた動きを指示していたことになる。

 メモには国の対応に関わる部分もあり、古川知事が「国際原子力機関(IAEA)から緊急時対策を評価するコメントを出してもらえるように説得工作すべしと進言している」と国側に求めたことになっている。

 九電の真部利応(としお)社長は4日の佐賀県議会の特別委員会で、メモの内容について「知事の要請となっているが、作成者や知事に確認したら、どうも中身が違うということになった」と述べ、知事の実際の発言とメモの内容には違いがあることを強調していた。

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