東北電力管内(東北6県と新潟県)で5日午後、最大使用電力が供給力の97.7%に達した。新潟・福島豪雨で水力発電設備の一部が壊れ、原発1基分に相当する供給力を失ったうえ、暑さによる需要増が重なり、この夏で最も厳しい状況になった。設備復旧のめどは立っておらず、他社からの電力融通頼みの綱渡りが続きそうだ。
5日の供給力は最大1211万キロワットだが、午後2時半に使用電力が1183万キロワットに高まった。前日から東京電力が30万キロワットを融通しており、この融通がないと電力不足に陥っていた計算だ。この厳しい状況は来週も変わらない。
今回の豪雨では、新潟、福島県境の29の水力発電所の設備が冠水などで停止。供給力が100万キロワットほど下がった。一方、5日の最高気温は秋田市で35.6度、新潟市で34.1度と高く、冷房需要が増えた。
東北電は計画停電を避けるため、壊れた発電設備の復旧を急ぐ一方、管内には一層の節電を呼びかけるが、復旧のめどは立っておらず、週明け以降の需給も厳しいことが予想される。
東北電は東電から140万キロワットまで融通を受けられ、それを含めると、5日の供給の余力は需要の11.7%分あった。国は余力が3%を下回りそうなら警報を出して計画停電に備えるが、資源エネルギー庁は「まだ警報が必要とはみていない」としている。ただ、東電管内の需給が猛暑や発電所の故障などで厳しくなると、融通を十分受けられなくなる恐れもある。
一方、経済産業省は東北電力管内の「電力使用制限令」を岩手、宮城、福島3県では緩める方向で最終調整している。今回の事態を受けて「数日間精査したうえで緩和の内容を最終決定したい」(幹部)としている。(西村宏治)