細野豪志原発担当相は5日、原子力規制行政の組織改編の試案を発表した。一元的な規制機関として「原子力安全庁」を新設し、内閣府か環境省の外局にする両論を併記した。来週中にいずれかに決めたうえで、閣議決定する。来年4月の安全庁発足を目指し、関連法案などを来年の通常国会に提出する方針。
試案では、原子力行政の推進機能と規制機能が同じ組織内にあることを批判している菅直人首相の意向を踏まえ、経済産業省から原子力安全・保安院を分離。内閣府の原子力安全委員会と統合して安全規制の関係業務を安全庁に一元化し、文部科学省などが担当してきた放射線量のモニタリングなども担わせる。同庁の下には助言機関として有識者らの「原子力安全審議会」を設ける。
同庁の役割には原発事故対応や核テロに備えた危機管理も盛り込んだ。緊急事態専門官を置いて指揮命令系統を明確化する。平時から訓練を行い、事故発生時には同庁の担当閣僚が陣頭指揮を執るとしている。
同庁の所管をめぐっては、細野氏らが環境省案を軸に検討したが、首相官邸に近い内閣府に置くべきだとの意見も他の閣僚から出て、結論が出なかった。どちらを採用するのかについて、細野氏は記者会見で「この1週間で議論が出てくるだろうから、それで見極める」と、来週に予定している閣議決定までに決定する考えを示した。
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■原子力規制機関の改編試案骨子
【基本的考え方】
・原子力の「規制」と「利用」分離。規制関連業務の一元化。危機管理態勢の整備。人材の確保。安全規制の強化
【新組織】
・内閣府の外局に原子力安全庁を設け、トップに担当大臣を充てる。環境省の場合は外局に原子力安全庁を設置
・新組織の下に専門的な知見から助言する原子力安全審議会を設置
・経済産業省原子力安全・保安院や内閣府原子力安全委員会の業務を引き継ぐ
・緊急事態専門官を新設して事故発生時の初動対応を担う
・核テロ対策などを担当
・来年4月をめどに新組織を設置
【人材確保・養成】
・若手職員の独自採用
・国際原子力安全研修院の設立検討