東京電力福島第一原発の事故で被災した福島県南相馬市の中学生49人が、国際交流NGOピースボートが無料で招待したアジア各国を巡る船旅に参加、充実した夏休みを過ごしている。3日は、2004年のインド洋大津波で被害を受けたスリランカで、現地の津波被災者たちとも交流した。
中学生たちは、日本を7月24日に発ち、ベトナム、シンガポールを回り、スリランカは最後の訪問地。この日、ラジャパクサ大統領夫妻らと、大統領公邸で記念撮影もした。
スリランカは04年の津波で約3万5千人の犠牲者を出した。中学生たちは地元大学日本語学科の学生を通訳に、当時被災したスリランカ人の若者と体験を話し合ったり、ゲームで親睦を深めたりした。服部結衣さん(13)は「スリランカの人たちの笑顔を見て、自分たちもいつかそんな風になれる気がした」と話した。
南相馬市内の6校から来た生徒たちは、夏休みも外出の際は、放射能対策でマスクや帽子着用。部活動も制限され、家の中で過ごすことが多かったという。新田健太郎君(14)は「船の上で運動会をやり、プールにも入れた。今年は泳げるとは思っていなかった」。
南相馬市の中学校6校のうち5校が、別の学校に仮住まい中だ。原発から比較的離れている鹿島中には、他の4校が同居している。
星幸乃さん(14)は「同じ学校にいても、名前も知らなかった他校の子たちと、旅で仲良くなれたのが最大の収穫。船上や訪問した先々でいろんな人に励まされ、がんばる勇気がわいてきた」と話した。(コロンボ=武石英史郎)