菅内閣は4日、東日本大震災からの復旧のための第1次補正予算に流用した年金向け財源2.5兆円について、今年度にも発行する復興債で補填(ほてん)する方針を固めた。復興債の発行総額は当初予定した約10兆円から約12.5兆円へ膨らみ、所得税の臨時増税などで償還される見通しだ。
先月29日に決めた復興基本方針の「事業規模と財源確保」の項目に2.5兆円を復興債で補填し、増加分を復興費用に加える趣旨を盛り込む。復興対策本部(本部長・菅直人首相)はこの復興基本方針の改定を近く持ち回りで決定する。財源は歳出見直しや臨時増税などで確保するとして内訳を示しておらず、歳出削減が進まなければ増加分はそのまま臨時増税で賄うことになる。
5月に成立した1次補正は、財源を国債発行に頼らず、歳出見直しなどに加えて基礎年金の国庫負担率を2分の1に維持するための臨時財源だった2.5兆円分を流用した。年金行政を担う厚生労働省は反発。細川律夫厚労相は「年金財政に穴は開けられない。復興債で返してほしい」と主張していた。
民主、自民、公明3党の政調会長級の会談でも、流用した2.5兆円分を早急に手当てすることで一致。政府関係者によると、玄葉光一郎国家戦略相(民主党政調会長)は復興基本方針を決めた復興対策本部の会合で「自公との政調会長会談で、1次補正で流用した年金向け財源2.5兆円の穴埋めは復興債を充てると内々に確認した」と報告したという。
3党は4日、子ども手当を今年度限りとし、来年度からは自公政権時代の児童手当を復活・拡充させることで正式合意。赤字国債発行のための特例公債法案の成立へ理解を得るため、2.5兆円の穴埋めでも野党に配慮することにした。