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2011年8月4日23時2分
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避難準備区域解除、条件一部満たす 安全委見解

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 国の原子力安全委員会は4日、東京電力福島第一原発での事故の再発の危険性が下がったなどとして、半径20キロ以遠に設定された「緊急時避難準備区域」の解除条件の一部が満たされたとの見解を示した。実際の解除へ向けて一歩前進した形だ。だが、見解の根拠は、安全委と経済産業省原子力安全・保安院の担当者による事前の話し合いで決められ、その経緯は十分に示されなかった。

 満たされたとする条件は、原発で再び放射性物質が大量放出されるなど緊急事態が発生する可能性が低く、発生した場合でも住民への影響が小さいことだ。

 保安院がこの日、(1)1〜3号機で水素を追い出す窒素注入が始まって水素爆発の可能性は下がった(2)仮に事故が起きても避難などによって住民の被曝(ひばく)は低く抑えられ、対応は可能――などとする報告書を提出。安全委も妥当と判断した。

 保安院は事故が起きた場合の影響を示すため、コンピューターによる解析結果も報告した。原子炉の冷却が15時間中断し、放射性セシウムが放出されると想定した場合、原発の半径20キロ地点の被曝線量は事故直後1週間に最大で2.3ミリシーベルト、年間で17ミリシーベルト増加するという。

 計算では、冷却中断が15時間を超すなど想定を変えると被曝線量も増えるが、「条件を厳しくすると際限がない」(班目春樹委員長)として、安全委と保安院が約1カ月前から非公開で議論して解析の想定を決めたことを明かした。

 緊急時避難準備区域の解除に向けた条件はほかに、放射能汚染された地域の除染やモニタリング(監視)などがあるが、まだ満たされていない。

 細野豪志原発担当相は7月、区域の解除について「8月上旬には解除の前提が整う」と述べる一方、解除時期は「自治体の理解と協力が不可欠」として慎重に判断するとの考えを示している。

 一方、安全委は半径20キロ以内の「警戒区域」や、20キロ以遠でも放射線量が高い「計画的避難区域」の解除の条件として、住民が浴びる放射線量が年間20〜1ミリシーベルト以下で、長期的には年間1ミリシーベルト以下を目指すことなどを挙げた。住居単位の「特定避難勧奨地点」の解除は柔軟に行われるとして解除条件は明示しなかった。(小堀龍之)

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