東京電力福島第一原発の廃炉に向けた工程表を話し合う国の原子力委員会専門部会の初会合が3日あり、東電が原子炉内の損傷した燃料を取り出すまでの主な技術課題を示した。
課題は▽1〜4号機燃料プールの燃料約3100体の取り出しと共用プールでの保管▽廃炉に向けた原子炉冷却や汚染水処理の安定化▽原子炉格納容器にも漏れた損傷燃料の取り出し準備▽廃炉に伴って発生する放射性廃棄物の処理▽事故の進展の解明と燃料取り出しへの活用――の5項目。
東電は10年後をめどに原子炉内の燃料の取り出しを始め、全体で数十年かけて廃炉を進めるという大まかな工程表を社内で検討し、それをもとに、東電と政府は7月、今後3年間で燃料プールから燃料取り出しを始める方針を示している。
この日は参考事例として、1979年に炉心溶融事故を起こした米スリーマイル島原発の廃炉についても報告された。79〜89年の11年間で、計9億7300万ドルの費用と年間約1千人の人員を必要としたという。もっとも、福島第一と違って廃炉は1基のみで、損傷燃料も圧力容器内にとどまっていた。福島第一ではより高度な技術が必要になるという。(小堀龍之)