英国原子力廃止措置機関(NDA)は3日、英北西部セラフィールドのウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料工場を閉鎖する方針を発表した。東日本大震災と原発事故で、MOX燃料の使用を予定していた日本のプルサーマル計画の見通しが不透明になったためとしている。
東京電力など日本の電力会社10社は昨年5月、日本が英国に保管するプルトニウムをセラフィールドの工場でMOX燃料に加工することでNDAと合意。日本はMOX燃料の唯一の取引先だった。
NDAは3日、「日本の地震と関連する事態がもたらす商業的リスクを分析した結果、将来的に英国の納税者に多大な負担をかけないためには、早期の工場閉鎖が唯一最善の選択肢」と発表。具体的な閉鎖時期は明らかにしなかった。現地の労組は800人の雇用が失われると反発している。
セラフィールドには日本の使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムが保管されているが、NDAは「国際的な安全基準にのっとって安全に保管していく」としている。(ロンドン=沢村亙)