日本製紙グループ本社は3日、コピー用紙やチラシ・雑誌などの印刷用紙をつくる洋紙部門の従業員の15%に当たる1300人を削減するリストラ計画を発表した。生産能力も15%落とす。「紙離れ」の需要減に、東日本大震災での主力工場の被災が追い打ちとなった。
来春から希望退職を募るなどし、従業員8800人の中から正社員850人、非正社員450人を減らす。うち100人は本社の管理部門を対象とする計画だ。
生産設備は国内の主要20工場のうち石巻(宮城県石巻市)、岩沼(同岩沼市)、富士、吉永(いずれも静岡県富士市)、岩国(山口県岩国市)の5工場で一部を停止。2012年9月までに生産能力の15%にあたる80万トン分を止める。
製紙業界は、電子媒体の普及や企業の広告費カットで需要が低迷。日本製紙連合会によると2010年の印刷・情報用紙の国内生産は954万トンと、10年前の8割程度にとどまる。日本製紙は主力の石巻工場が震災で痛手を被り、全体の生産の見直しに踏み切る。
日本製紙がこの日公表した2012年3月期の業績予想は120億円の連結純損失と、2期連続の赤字を見込む。石巻工場の復旧費などの特別損失がかさんでいるためだ。野村証券の河野孝臣アナリストは「震災で早まった面はあるかもしれないが、遅かれ早かれ必要な改革だった」と話す。
日本製紙はまた、中国2位の段ボール原紙メーカーへの出資比率を増やし、グループ化する方針も表明した。王子製紙も昨年末から中国で洋紙の本格生産を始めており、国内大手は海外に活路を求めつつある。(西山明宏)